前回のVol7から夢のマイホーム完成までの道のりについてお伝えしています。
今回は、「プランニング・基本設計」「実施設計と見積り確認」「建築確認申請」についてお伝えしていきます。
① パートナーが決まったら、設計管理契約、工事請負契約を締結します。
・ハウスメーカーや工務店とは、工事請負契約書を締結します。
請負契約とは、請負人(ハウスメーカーや工務店)が、依頼を受けた仕事を完成させることを約束して、注文者(施主)が目的物(マイホームなど)の引渡しと引き換えに報酬を支払う事を約束する契約の事です。
・建築家に依頼する場合には、別途設計管理契約を締結します。
② 地盤改良工事は必要?
地盤調査を行った結果、軟弱な地盤であった場合には、地盤改良工事が必要となるので
事前に、地盤改良工事が発生した場合の概算費用をパートナーに確認しておくと良いですね。
ただ、地盤の状態は調査を行ってみないと、どれだけの改良工事が必要となるか分からないので、最低額から最大額の範囲についてアドバイスをもらうか、ご自身で調べて想定しておくことをお勧めします。
③ プランニング・基本設計をイメージに近づけるには?
ここからいよいよ、マイホーム建築に向けた具体的なプランニングがスタートします。
皆さんが、事前に情報収集をして、温めてきたイメージや要望をパートナーへ伝えてください。
パートナーは、皆さんのイメージを設計図に取り入れていきますが、違和感やイメージと異なる場合は遠慮なく伝えていきましょう。
この設計図でマイホームの8割は決まると言っても過言ではないので、しっかりイメージを伝えきり設計図に反映してもらう事が重要です。
設備や部材がそろってしまうと、余計な費用が発生してしまう可能性がありますので、配置図と図面で全体のイメージを納得のいく内容に仕上げていきましょう。
プランニングは、住みやすいマイホームづくりで一番大切ですので、時間をかけて家族と話しあい、どんな時間を大切にしたいのか、イメージづくりから始めると良いですね。
子供達と賑やかに遊ぶ時間を大切にしたい。家族で映画鑑賞をしたい。友人家族を呼んで家族ガーデンパーティをしたい。子供達の友達を呼んで賑やかにしたい。プライベートな時間を大切にしたい。など考えていくと、大きく3つに分類できます。
・プライベートな空間
・家族とのパブリックな空間
・家族以外も含めたパブリックな空間
どれも大切な空間ですので、どのような設計図にすると実現できるのかを検討すると良いですね。
プランニングをする上で、良く使われるのが、現在の住まいの不満や要望をエリア毎に書き出す作業です。
例えば、夫はリビングについて、物を置かないシンプルな空間にしたい
妻は、昼間は子供達との触れ合う時間、夜間1人ゆっくりくつろげる空間
長女は、ピアノを弾きたい、プライベートな空間が欲しい
長男は、メダカを飼いたい、ボードゲームやテレビゲームをしたい など
上記工程をそれぞれ、ダイニング、キッチン、玄関、寝室、子供室、洗面・脱衣所、浴室、トイレ、収納、廊下、階段、デッキ、庭 について、書き出してみます。
すると、家族全員の考えが可視化されて、新しい発見もあり楽しい時間が生まれますよ。
話し合う中で、予算にも限りがあるので優先順位を付けておくことも忘れずに!
イメージがつかめてきたら、間取りを決める為のゾーニングをしてみましょう。
ゾーニングとは、空間(建物)をいくつかのテーマや用途に分けて考えることを言います。
代表的なゾーンは、ⅰパブリックゾーン、ⅱプライベートゾーン、ⅲサービスゾーンに分けられます。
ⅰ パブリックゾーン
リビング、ダイニングなどの家族全員が集まるスペース。自由に使える和室や作業スペースなどもあれば含まれます。
ⅱ プライベートゾーン
いわゆる個室です。子供部屋や書斎、夫婦の寝室のほか、仕事用の部屋があればプライベートゾーンになります。
ⅲ サービスゾーン
キッチン、浴室、洗面脱衣室、トイレ、ユーティリティルームなどです。
ここで大切なのが、細かい間取りを考える前に、部屋の用途や配置や広さなどを大まかに決めていく事です。
ゾーニングする際にもう一つ大切なのが、周辺環境をスケッチに取り入れる事と、方角を決める事です。
道路の方角、隣家との状態(壁だけなのか、窓があるのか、植栽があるのか)をスケッチする事で、ゾーニングが具体的になっていきます。
また、方角を書き入れる事で、風の流れや日当たりの良い位置が分かりますね。
ゾーニングは、細かく綺麗にスケッチせずに、A4用紙の白紙に大まかに丸囲みでスケッチして、だいたいの広さを決めていくのがポイントです。
ゾーンをスケッチする際に、代表的な下記のポイントを考えながらスケッチしていくとイメージが固まっていきますよ。
・水まわりを近くにまとめて、家事の効率をアップした導線
・家族とのコミュニケーションを意識した導線
・日当たり、風の通りを意識したゾーンの配置
・来客時にプライベート空間を見られない導線
生活の利便性やコミュニケーションは、この導線が大きく関わってきますので、何度も考えて作り上げてください。
もちろん、導線は時間帯・曜日と人それぞれの生活パターンによって変わりますので、全てのパターンを考慮するのではなく、極力無駄な動きや無理のない導線を心掛けたいですね。
ゾーニングが出来たら、パートナーに家族の要望と一緒に、ゾーニングした資料を渡す事で、住みたい家のイメージを正しく伝える事が出来るのでお勧めです。
④ 実施設計と見積書の最終確定は慎重に!
マイホームの各部詳細設計や構造設計が終わり、各種設備や内装、造作家具、建具、照明などもほぼ決定したら、詳細な見積書が届けられます。
予算オーバーであれば、ここで調整していきますが着工後の変更は工期にも予算にも影響するので、最終確定を急がずに納得いくまで再見積もりを依頼していきましょう。
見積書は最終合計の金額確認も重要ですが、見積書の内容にもしっかりと目を通して、分からない項目があれば、遠慮することなくパートナーに確認して説明してもらう事が重要です。
設計図には記載されているのに見積に含まれていないものがないか、チェック漏れがないか? パートナーとの認識のずれがないか、もう一度漏れなく確認しておくと安心ですよ。
電気工事には、電気から電話線、LANの配線まで含まれているか?屋内外のスイッチ、コンセントの数は足りているか? また、換気設備やエアコンなどの空調設備は漏れていないかなどチェックをしましょう。
また、家の周りの外構工事は、建築費用に含まれていないケースもあるので、外構工事がどこまで含まれているのかを確認する事が大事です。
例えば、庭全体に砂利を敷き詰めるのも外構工事ですし、塀や門扉、ウッドデッキを作ったり、ガーデニング用の花壇をつくる事や、駐車スペースや土間コンクリート、玄関前のアプローチなども外構工事に入ります。
皆さんがイメージしている外構と相違がないか、パートナーとしっかりと相談して、イメージ通りの外構を完成させましょう。
全てに納得しないまま計画を進めてしまうと、後々後悔する羽目になりますので、パートナーと十分に相談して納得した上で、次のステップに進むようにしてくださいね。
⑤ 建築確認申請
実施設計と見積りを確認してイメージ通りであれば、いよいよ「建築確認申請」です。
「建築確認申請」とは、家を建てる工事をする前や増築をする前に、建築主事に建物や地盤が建築基準法に適合しているか、建築可能な区域であるか、建蔽率(建ぺい率)や容積率、北側斜線規制などが守られているか、居室など十分な採光が確保されているか、省エネ基準に適合しているかなどを確認する為の申請です。
工事着手前に図面など必要書類を自治体の窓口や審査期間に提出して、建築主事(確認申請や完了検査の審査を行う公的な役職)の確認を受ける必要があります。
建築主事の確認を終えたら、確認済み証の交付を受けて工事着工となります。
通常は、皆さんに代わりパートナーが段取りされますので、確認してみてくださいね。
建築確認申請には、申請料が数万円程度必要になりますので、事前のご準備を忘れずに!
□ まとめ
家づくりのパートナーが決まったら、請負契約を締結します。請負契約書には重要事項が記載されているので、漏れなく確認するようにしましょう。
契約書の詳細については、また別の機会にお伝えしたいと思います。
地盤改良工事については、地盤調査が終わらないと地盤改良工事が必要であるか、またその必要範囲も分からないので、地盤改良工事も発生しうる事を想定しておきましょう。
プランニング・基本設計においては、家族とどのような空間が必要であるかを話し合い、ゾーニングをしたスケッチを、家族の要望と一緒にパートナーへ渡して、住みたい家のイメージを正しく伝える事が大事でしたね。
実施設計と見積書については、実施設計図と見積書の内容は、細かな点までしっかりと確認をした上で、納得するまでパートナーと相談して、実施設計図の修正及び再見積書を作成してもらいましょう!
ここで遠慮してしまうと、夢のマイホーム(住みたい家づくり)が、住みづらい家になってしまうこともあるので、遠慮する事なく小さな事でも伝えていくことが成功の秘訣です。
実施設計図と見積書に納得できたら、建築確認申請を終えて建築確認済み証の交付を受けていよいよ工事着工となります。
皆さんの「夢のマイホーム」を実現させる為にも、ここからが再スタートです。
完成まで気を緩めず、「夢のマイホーム」を完成させてくださいね!
参考図書:はじめてのマイホーム