□ 家づくりを進める上で何が大事?
さて家づくりで大事な事は何かと聞かれた場合、皆さんは何と回答されますか?
各世帯により大事なことは異なると思いますが、私が思う大事なことは下記の5つです。
・マネープラン ・住みたいマイホームのイメージ ・住宅会社選び ・性能
マネープランが大事な理由は、20年~35年という長い期間、様々なライフイベントがあるにも関わらず、そのライフイベントでどのくらいの出費が発生するのか把握しないまま、毎月の返済金額を決めてしまうと、後々、住宅ローンの返済で悩まされる事になってしまう可能性が高いからです。
現状、余裕資金の蓄えがあり、老後資金も潤沢である場合であっても、ご家庭のキャッシュフローを把握せずに、高額なマイホームを購入してしまうと、後悔することになるかもしれません。
もちろん、マネープランに限らず、理想の環境、間取り、デザインなど夢を叶えるためにも、十分すぎる準備期間と計画が重要となりますので、少しでも本記事がお役にたてると嬉しいです。
□ マネープランは何から初めたらよい?
念願のマイホームを手に入れて、30年後、40年後も安心して心身共に寛げるマイホームであり続ける為にも、ご家族のライフプランを大まかにでも良いので考える事をお勧めしています。
▼ライフプランをつくるメリットは
1)生涯の収支見通しが明らかになる
2)収支見通しが明らかになる事で、どの時期に収支が厳しくなるかが分かり、いつどのくらい
必要になるか対策が打てる
3)マイホームの諸経費、ローン金利、維持費、修繕費などをライフプランに盛り込む事で、
マイホーム購入の適切な金額が把握できる
4)キャッシュフローとライフプランを比較することで支出をコントロールし易くなる
5)突然の出費による家庭内トラブルが抑制される(これが一番大きいかも・・)
それでは、実際にライフプラン表を作成する為の便利ツールをご紹介しておきます。
日本FP協会(日本ファイナンシャル協会)が無料で提供している”便利ツールで家計をチェック”というサービスを利用されると、簡単に作成することが可能ですので参考にしてみてください。
※便利ツールで家計をチェック | 日本FP協会 (jafp.or.jp)
上記ページには、4種類のシートが公開されていますが、今回使うシートは下記の2種類です。
・ライフイベント表
・家計のキャッシュフロー表
上記リンク先から、それぞれのツールをダウンロードして入力してみてください。
使い方としては、「ライフイベント表」にザックリとで良いので、いつ・どんなライフイベントがあるかを入力していきます。
下記は参考のイベントです
・結婚
・出産
・入園式
・入学式
・習い事①(ピアノ、野球、テニス、サッカー、バレエなど)
・習い事②(学業に関する習い事)
・学費
・中学受験・入学
・高校受験・入学
・大学受験・入学
・大学院
・長男・長女の就職
・住宅購入
・長男・長女の結婚
・介護施設入居
・家族旅行
・マイカー購入
・住宅リフォーム
・その他
次に、「ライフイベント表」を参考にしながら「家計のキャッシュフロー表」を入力していきます。
キャッシュフローとは、お金の流れを意味しており、「収入」と「支出」を書き出し可視化する事で、家庭の収支バランスを把握できるようになります。
「収入」には、年収ではなく手取り額を入力してください。単位は万単位を使うと数字の数が増えずに見やすいですよ。
「支出」については、細かく項目を分けるのもありですが、住居関連費以外の生活費は「基本生活費」に纏めて入力すると便利です。
家計簿を付けているのであれば、平均的な金額を入力してください。
「家計のキャッシュフロー表」を完成させることで、ライフプランが完成しますので、まずはこの2つのツールの作成を進めてみてください。
□ 住宅ローンを組む上で気を付ける点はなんだろう?
まず第一に、住宅購入総額(土地含む)の20%~30%を頭金として準備する事をお勧めしています。 理由はただ一つ、住宅ローン金利の返済を減らし、支払い総額を抑えるためです。
住宅ローンの金利は、金融機関の商品によって異なりますが、長期の住宅ローンになると30年~35年間返済が続く事となり、金利は借入額の1.5倍くらいになる事もあります。
これまでは低金利で推移していますが、経済が回復して好景気となると、金利が上昇し借入額と同等以上の金利になる可能性もあります。
将来的な金利上昇リスクも考えると、頭金は可能な限り確保しておくべきと考えます。
とは言え、手元資金を残さず頭金に全て入れてしまうのは得策とは言えません。
突然の出費は想定外で発生しますので、最低でも月収の3カ月~4カ月分の手元資金を残しておく事は精神衛生上からして検討すべきですね。
□ まとめ
今回のBlogでは、近年の住宅販売推移と注文住宅取得世帯の方々が、最終的に現在の注文受託にした決め手、家づくりを進めていく上で、大事な事を中心に書きました。
特に、住宅ローンについては最長35年もの間、借入金元本と金利を一度も滞ることなく返済を続けていかなければなりません。
しかし、全ての方が滞納せず支払いができているわけではなさそうです。
国土交通省 住宅局が公表している、令和元年度住宅市場動向調査結果報告書によるとはじめて家づくりをスタートさせる方の多くが30代の世帯主であり、注文住宅の居住人数
の平均が4人である事が公表されていました。
また厚生労働省が公表している「簡易生命表」と「人口動態統計」の男女別平均寿命、平均初婚年齢、第1子と第2子誕生年齢のデータでは、男性の初婚平均が31.2歳、第1子誕生32.8歳、第2子誕生34.7歳である事を基に推測すると、世帯主と配偶者が働いていて、世帯収入が安定しており、子供の教育費は世帯年収に対して割合が少ない事が予想されます。
このような安定した時期にマイホームを購入するからなのか、当初の計画に無理があった、収入減を想定できていなかった、支出の増加を想定していなかったなどの理由から、住宅ローンの返済に行き詰まり住宅ローン破綻をしてしまう世帯が年間約4%もでています。
2020年度の競売物件数はなんと17,746件!
年々少なくなってはいるようですが、任意売却を含めるとその件数は計り知れません。
これから夢のマイホームを手に入れる方、既に手に入れた方には、このような事態を引き起こさない為にも、ライフプランを作成してローン破綻しないキャッシュフローを実現し、安定した生活を過ごして欲しいと心から願います。
◆ 参考文献・出典
・国土交通省 住宅局 令和元年度 住 宅 市 場 動 向 調 査 報 告 書
・厚生労働省 「簡易生命表」と「人口動態統計」
・2020年8月「令和2年度ディスクロージャー誌」住宅金融支援機構